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戻る トップへ #ref error :ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (X01HappyNewYear.jpg) 「新年、明けましておめでとう。宗太、パーシ」 「同じく、明けましておめでとう。お二人」 糞寒い冬の朝。俺はとある駅の前で加奈美とシルフィから新年の挨拶を受けていた。 「あけおめぇ、二人ともぉ。その振袖、よぉく似合ってるわぁ」 俺の胸ポケットでパーシが言った。確かにパーシの言う通り、二人は俗に言う振袖姿だ。 加奈美はピンク色の花柄振袖。髪も何時もみたいにストレートじゃなくて、ちゃんと結わえてある。化粧でもしているのか、振袖のせいか何時もと違って大人ぽく見えてしまう。 シルフィも加奈美とお揃いの振袖を着て、加奈美の肩に座っている。しかも髪の毛は何時ものツインテールじゃなくて、簪を付けてポニーテールぽくしてる。その凛々しい表情は振袖の魅力を何倍にも引き出している。 今がこんなんじゃなければ、加奈美の姿は目の保養になったろうしこの初詣もデート気分で楽しめただろう。 「バカ宗太ぁ、綺麗の一言でも言ったらどうよぉ?」 「……加奈美」 「なに?」 「今日が何日か言ってみろ」 「一月四日よ」 加奈美はにこにこしながら言った。まるで物事の正否なんて関係無いとでも言うように。 「初詣っつーのはよ、普通元旦辺りにいかねぇか?」 「私も主にそう進言したのだが……」 と、シルフィは言っているけど顔は満更でも無さそう。てゆーかすげー嬉しそうだから説得力も何も無い。振袖着れたのがそんなに嬉しいんか。 「別にぃ初詣にいつ行こうと自由じゃなぁい?」 「うっせー阿呆。別に初詣自体に文句はねーよ」 「では宗太殿、何が不満なのだ?」 「……とりあえず、眠ぃ」 何を隠そう、俺はついさっきまでバイトをやっていた。しかも徹夜で。 昨日の夕方六時から今朝六時までずっと働き詰めだった。夜勤に行くことは加奈美にメールで言って置いた。今朝もバイトが終わったときに加奈美にはこれから寝るから家来ても無駄だって、そう連絡した。なのに。 「加奈美、お前はあのメール見てなんでこうなるんだ」 「押すなよ、絶対押すなよ! みたいな?」 加奈美の一世代古いネタに頭痛がしてくるけど、今はもっと頭痛の原因がある。 「……それと後一つ」 「なにかしら?」 「何で秋葉原なんだよ」 「この辺りはフツーの町だな……」 俺と加奈美とシルフィと阿呆は、秋葉原のメインストリートから二つ三つ奥に行った所謂裏路地を歩いていた。 「電気街とは月と鼈よねぇ」 「いや……電気街が異常過ぎるのではないか?」 「そうかしら? 私はああいうの好きよ、活気があって」 「……」 「馬鹿宗太ぁ、なんか言いたそうねぇ?」 なんつーか。あれだ。 俺も少しくらいまともな恰好して来た方が良かったんかねぇ。 振袖の加奈美とシルフィに対して俺はジーパンとダウンジャケットだし、パーシに至っては素体そのままだ。 そんな俺達と加奈美達が並んで歩いているのは端から見たら結構奇妙な光景じゃねーのかなぁ。 「なぁ、加奈美」 「なに、宗太?」 「……どこの神社行くんだ?」 「あら、言って無かったかしら?」 「……主よ、ただ神社に行くとしか言っていなかったぞ」 「そうだったかしら?」 「加奈美ったらぁ、いつになくぽややんねぇ」 「着慣れない物着てるからかしらね」 「本当にそれだけぇ?」 「さぁ、どうかしら?」 「……楽しんでるところわりーいんだが、俺の話覚えてるか」 「なんだったけぇ」 「なんだったかしら?」 相変わらず、マイペースと言うか何て言うか、自由な連中だよ。 そんな俺に残された最後の良心はシルフィだけだ。 「シルフィ、どこの神社かわかるか……」 「……」 「シルフィ?」 「……」 やべぇ、返事が無ぇ。ていうかさっきから反応が少し可笑しいと思ってたら、振袖の袖の部分を嬉しそうに眺めてみたり、帯を触ってみたり、簪いじってみたりしてる。俺の言葉には反応すらしない程に嬉しいんかい。 「あ、加奈美ぃ。あの神社じゃなぁい?」 「あら本当」 二人の視線の先に目を向ければ、そこにはこじんまりとした神社が見えた。 まだ少し距離があるから細かな所は解らないけど、公園みたいなのもある。 「喋ってる内に着いちゃったわねぇ……シルフィ、着いたわよぉ」 「……ああ、了解だ……」 シルフィはそう言ってるけど、視線は神社を見ていない。てゆーか俺の声は聞こえなくてもパーシの声は聞こえるんかい。 「で、なんであの神社選んだんだ」 すこーしブルーな気持ちになりながら、俺は加奈美に聞いた。 「あら、言って無かったかしら?」 「……加奈美、その台詞二回目だぞ」 「そうだったかしら?」 ……ダメだ。今日の加奈美はいつも以上にペースを乱される。振袖ってのは女をこうも変えてしまうのか。 「おい阿呆」 「なによ馬鹿」 「なんであの神社なんだよ」 「ふぅ……まったく馬鹿は人に物聞く態度も分からないのねぇ」 何時もなら導火線に火が付く所だが、今日は眠すぎてそんな気も起らねぇ。 「まぁ、今日は正月明けって事も踏まえてぇ許してあげるわぁ。一度しか言わないからよぉく聞きなさいよぉ?」 「やっぱ良いわ」 「なんでよぉ」 「着いちまったし」 加奈美とパーシに話を振ってる間に、俺達は神社の鳥居の下に着いていた。 とりあえず、ぐるりと周囲を見渡してみる。 まぁとりあえず頭上にある鳥居。正面にある参道の先に拝殿と賽銭箱。参道の脇にある手水舎。所々にあるでっかい木。公園みたいなのもあった。 普段から神社とかあんま来ない俺からしたら、何と言うか、なんで加奈美がここに来たがるか分からない。そんな普通な神社だと思う。 ただ、この時期なのに落ち葉とかはあんま落ちてないし、ゴミみたのも見当たらない。規模でいえば小さな神社なんだろうけど、その分なのか、手が行き届いてるような気がする。 どっかのでっかい神社みたいに入るだけで疲れそうな神社とは違う、安心できる。よくわかんねぇけど、そんな風に俺は感じた。 「馬鹿宗太ぁ、加奈美達先に行ってるわよぉ!」 「おう」 気付けば加奈美達は手水舎で手をすすいでいた。 石で出来た水盤には見るからに冷たそうな水が溜まっていて、それで手を洗ってる加奈美を見ているだけで寒くなる。 「マメだな」 「あら、これは参拝者のマナーよ。ちゃんと宗太もやらなきゃダメよ?」 「……マジで?」 「マジで」 加奈美はそう言うと、水を手で掬って口に入れた。 それは俺に同じ事をやれと言外に要求しているのが良く分かる。 仕方なく柄杓で水を掬って、左手にかけた。 「……つめてぇ」 「泣き言言わなぁい」 一月の水は阿呆みたいに冷たい。まるで針で刺されてるみたいな痛みを感じる。眠気が一気に覚めるくらいに。 だらだらやっても辛いだけだから一気に右手に水掛けて、口もすすいだ。 「あー……つめてぇ」 「はい、ハンカチ」 ハンカチで手を拭いたところで、冷たさは変わらない。俺はハンカチを加奈美に返してポケットに手を突っ込んだ。 「遅いわよぉ、馬鹿」 「うるせー」 パーシの小言に相槌を打ちつつ、参道に戻って拝殿へと向かう。 加奈美は一歩遅れて付いて来ている。 「主よ、人が少ないな……」 意識が振袖から離れたのか、シルフィがようやく自発的に言葉を発した。 「三が日は過ぎたからな。今更初詣来るのは俺達くらいだろ」 拝殿までの道のりはそんなに無い。一言二言交わせば直ぐに付いてしまう。現に俺は賽銭箱の前に居る。 「宗太ぁ、お金ぇ」 「ほらよ」 悴む手を奮い立たせて財布から一円玉を取り出して、パーシに渡した。 「……馬鹿宗太ぁ」 凄まじい敵意を感じるが、そんなもんスルーだ。俺も同じく一円玉を取り出して賽銭箱へと投げ入れる。 目を瞑って手を合わせて。とりあえず、家内安全辺りを祈っておくか。それとも学業成就か。 色々考えていると、ちゃりんちゃりんちゃりんと賽銭を投げ入れる音が三連続で鳴った。 それに続いて、ぱんぱんと手を二回叩く音。 瞑っていた目を開ければ、瞳を閉じて何か真剣に祈っている加奈美の姿が見えた。 俺はとりあえず、がらんがらんと鈴を鳴らした。 「宗太ぁ、私の分も鈴鳴らしなさいよぉ」 阿呆に言われるまま俺は連続でがらんがらんと鈴を鳴らしてしまった。 「……何お祈りしたんだ?」 とりあえず、何と無く手持無沙汰だったから、パーシに話を振ってみた。 「だぁれがあんたなんかに教えるのよぉ」 まぁ、そういう返事は想定の範囲内だ。はなからまともな返事が返ってくるとは思っていない。ただの暇つぶしだ。だから阿呆に何言われようと全く気にならねぇ。 その時、丁度がらんがらん、がらんがらんと鈴が連続で鳴った。言わずもがな、加奈美とシルフィのが終わった音だ。 「ねぇ加奈美、シルフィ。何お祈りしたのぉ?」 音が鳴り終わるやいなや、パーシは開口一番そう言った。 「私は……とりあえず家内安全よ」 ウソだな。あの間は加奈美がウソつくときの癖だ。 本当は何を神頼みしたかは知らねーけど、碌でも無い事は確かだろう。 「シルフィはぁ?」 「私は皆の健康だ」 たぶん、シルフィは本当だろう。 なんとなくだけど、そんな気がする。 「加奈美、用はすんだか?」 神社に来てやる事はもう荒方やってしまった。加奈美が何故この神社に来たがったかは俺には解らない。 確かにここは良い所だが、メールで俺を叩き起す必要は無かったんじゃないか。 「ふふ、お楽しみはこれからよ、宗太?」 と、加奈美は不敵に笑うと社務所の方に歩いて行った。 阿呆のパーシを見たら何故かしてやったりな顔されて、シルフィを見たらまだ振袖を嬉しそうに眺めてた。 そんな俺に出来る事は冷えた両手を温めながら加奈美に付いて行く事だけだ。 「すいませーん」 社務所についた加奈美は少し大きな声でそう言った。社務所にはどこの神社にもあるようにお守りやら破魔矢やらが置いてある。ただ、人だけが居なかった。 そんな事をぼんやりと考えていると、少し遠くから声がした。 「はい、唯今参ります!」 人の声にしたら少し奇妙に感じる声。なんというか、発信源が遠いような、近いような。そんな感じだ。 加奈美もパーシも俺の事を面白そうに見るだけで、何にも言おうとしないし。 「お待たせしました」 次の瞬間、かなり近い場所から声がした。 その音源を探る様に辺りを見回してみても、見る限り人はいない。 「宗太、そこよ」 加奈美の少し下向きな視線を追えば、そこには立派な巫女さんが居た。 白子袖に緋袴姿。どっからどう見ても完璧に巫女。ただ一つ、その姿形が良く見慣れた存在である以外は。 「へぇ……神姫の巫女さんか」 「はい、結と申します。この神社の巫女を任されております」 俺は思わず嘆息した。その巫女さん神姫―――結はハウリンタイプの武装神姫だ。 それが巫女装束に身を包んで神社の巫女をやっているのだ。 俺は純粋にハウリンと巫女との融和性に驚くしかなかった。 「結さん。御神籤を引きたいのだけれど」 「はい、少々お待ち下さい」 結の受け応え、そして動作はどうみても巫女そのものだ。 彼女がこの神社の巫女を任されているのは、本当の意味で任されているのだろう。 ただ、武装神姫の結が人間用の御神籤箱を持ち出した時は少し危なっかしいと思ったりした。 「どうぞ」 「ありがとう」 加奈美は御神籤箱を受け取ると、からからと振った。 「私は……3番。はい、宗太」 「おう」 加奈美に御神籤箱を渡されて分かったが、この御神籤箱はかなり軽い。たぶん、結のオーナー辺りが彼女用に作ったのだろう。 片手で軽く御神籤箱を振り、出てきた棒の番号を読み上げた。 「俺は1番だ」 御神籤箱をパーシに渡してから、結から御神籤を貰った。 「はい、こちらです」 小さく折りたたまれた御神籤をさっそく開こうとしたら。 「宗太ぁ、皆で一気に開いた方が面白いでしょぉ……私は16番ねぇ」 パーシから御神籤箱をひったくり、シルフィに渡す。シルフィもそろそろ平常心に戻っているらしく、普通に御神籤箱を受け取ってくれた。 「……私は4番だ」 これで、全員に御神籤が行き渡った事になる。 「んじゃ、早速」 俺は小さく折りたたまれた御神籤を開いた。 開いて、かなりブルーになった。 「あら、吉だったわ」 「主……小吉だ……」 「ラッキぃ、私は大吉よぉ」 お前らは良いよなぁ……。 「宗太のはぁ……と……凶?」 「あら」 パーシの言うように、俺の御神籤にはでっかく凶の字が書かれていた。 御神籤で一年の全てが決まるとは言わないが、一年の初めにこんなんだとどうしてもテンションがブルーになる。 「御神籤というものは運勢よりも、書かれている内容をしっかりと心に留めて、よりよい運勢になっていくように努力していいくものなのですよ」 結が口を開いた。 それは俺を慰めているのとは違う、励ましているのとも違う、何とも不思議な声音だった。 「内容、ねぇ……」 禍々しい凶の字に向けていた意識を、下の方に向けて見た。 悦事:なし 住居:移らぬ方よし 旅行:盗難に遭うから止めよ 儲事:先得するも後大損す 待人:来らず 失物:でがたし 試験:落ちてもくよくよするな 病気:死に至る病である 事業:友人の裏切りに注意 産児:大きな苦しみを伴う 「……宗太ぁ、良い事あるわよぉ」 「宗太殿……その……」 気を遣うな、武装神姫。 あれから俺はお守りを買い漁り、神社を後にした。 俺の心は清々しい青空のようにブルーだった。 「馬鹿宗太ぁ、まだ引き摺ってんのぉ?」 「パーシ、そっとしておいた方が良いのではないか……?」 シルフィは自分も小吉だったせいか、俺に友好的だ。だけど、その心遣いもちょっとキツイ。 「……加奈美、ここは何だ」 「ALChemistよ」 俺はこんな気分を払拭する為にも早く帰って寝たかった。 それなのに加奈美は俺を引き摺り回し、秋葉原の中心部に程近い無線会館とやらの地下二階に連れてきやがった。 看板やらを見る限り、一応武装神姫関係のショップのようだが。 「……俺は帰る」 「なんでよぉ、馬鹿宗太ぁ」 俺はこのショップからある気配を感じていた。 いや、正しくはこのショップと加奈美とシルフィとパーシからだ。 それは男にとって理解出来ない気配であり、出来れば帰りたくなる気配だ。 「い・い・か・ら、入りましょ?」 いつの間にか背後に回っていた加奈美に背中を押され、俺はALChemistの店内へと足を踏み入れてしまった。 その先は、一見喫茶店と見間違うような空間だった。 「あ、いらっしゃいませですの~」 俺の真正面、棚に並ぶ商品を整理していたのだろうか店員らしき人物が立っていた。 俺は思わずその姿に見とれていた。 蜂蜜色、そう形容するしかない三つ編みにされた綺麗で長い髪の毛。 その瞳は吸い込まれるような深い蒼色。 アクセサリーを身に付け、エプロンを身につけた彼女はとても俺と同じ人間とは思えないほどに美しかった。 それでいて彼女は絶世の美女、と言うよりも美少女と言った方がしっくりくる。 何分でも、何時間でも見惚れていたくなるような、そんな人だ。 「馬鹿宗太ぁ、なぁに鼻の下伸ばしてんのよぉ」 今日初めて秋葉原に来て良かったと思っていた至福の時をブチ壊したのは俺の耳を思いっきり引っ張った阿呆のパーシだった。 「? ゆっくり見て行ってくださいですの」 そう微笑みかけられて、俺は思わず目を逸らしてしまった。俺は餓鬼か。 「ふん。加奈美、こぉんな馬鹿ほっときましょぉ」 「そうね、これからは女の子の時間だものね」 「そぉ言う事だから宗太ぁ、お財布よろしくねぇ」 「……おい、どういうこった」 「だからぁ、私たへのお年玉よぉ」 「心配しないで、宗太。ちゃんと宗太が帰れる程度には残しておいて上げるから」 「あ、主よ。それは幾らなんでも……」 「心配する事無いわぁ、シルフィ。あの馬鹿は年末年始で相当稼いでるから10万20万は全然平気よぉ」 「俺の意見は無視か」 「いや、だがしかし……」 「大丈夫よシルフィ。宗太は優しいからきっと買ってくれるわ」 加奈美にそんな顔で見られると、断るわけにはいかねぇよ。 だけど、ただやられるだけじゃ腑に落ちない。 「……良いけどよ、30分以内に」 「馬鹿も正月は気前が良いわねぇ!」 パーシは俺の背中を蹴って加奈美の肩に飛び付いた。 俺が言い終わるよりも早く、3人は買い物を始めやがった。 もうこうなったら俺にはどうしようもない。30分時間が浪費されるのを待つだけだ。 「あら、これ可愛いわね」 「いいじゃなぁい、シルフィに似合いそうよぉ」 「い、いや。私にはとても……」 「そんなことないですの。きっとお似合いになるのですの♪」 「て、店員さん!?」 「でも貴女にだったらこっちも似合うと思いますの」 「本当、こっちの方が似合うわね」 「さっすがぁ、店員さんねぇ」 ……女は怖い。 怖い、っていうか凄い。 気持はわからないでもないけど、俺は買い物にここまで夢中になれない。 30分。たぶんあいつらにとっては短すぎるんだろうなぁ。 まぁ俺は店員さんを眺めているだけで良いんだけど。 「何か探しものか、客人よ」 美少女店員さんを眺めてたら、声がかかった。 雰囲気的びは店員さんだが、周囲を見渡しても小さな女の子しかいなかった。 「誰が小さな女の子かッ!」 黒髪を肩辺りで揃えた、小柄で非常に可愛らしい女の子は、その可愛らしさとは裏腹な言動と鋭い蹴りを俺に浴びせやがった。 「っ―――痛ぇ!」 俺の脛を正確に狙い澄まして放たれた蹴りは、滅茶苦茶痛い。 うずくまって脛を押さえていると、彼女が再び口を開いた。 「人の妹をいかがわしい目で見るかと思えば言う事はそれかッ!」 妹? 誰が? ここにいるのは俺と加奈美とシルフィとパーシと店員さんとこの幼女だけなのに? 「誰が幼女か、このたわけッ!」 うずくまっている俺に対し振るわれる右足。 顔面に当たり寸前に腕でガードしたけど痛い痛い。 この子、なんか格闘技でも習ってんのか? 「……少しは反省したか?」 軽く腕組みしながら俺を睨みつけてくるよう……じゃない、この子。 てか俺思考読まれてね? とりあえずうずくまったまんまだとヤバいから立ち上がる。 「OK、OK。お互い落ち着こう……」 両手を挙げてこちらに敵意と悪意が無い事をアピール。 だけど、彼女は鋭い目つきで俺を睨んだまんまだ。 大人しくしてれば人形みたいに可愛らしいんだがなぁ。 「ふん……最初に言っておく、私がこのALChemistの店長、槇野 晶だ」 店長? こんなちっさくて可愛らしい女の子が? 「っと待て、待って下さい、蹴らないで下さい……じゃあ、妹って言うのは?」 「無論、あそこに居る葵の事だ」 「……葵さん、ねぇ」 あの店員さん、葵さんっていうのか。 良い名前だなぁ……とか思ってたらまた危うく蹴りを入れられそうになった。 「うぉっ、あぶね!」 「貴様……また良からぬ事を考えておったな?」 やべぇ、この子。じゃねぇや晶さんは読心術でも会得してんのかよ。 迂闊な事考えられねぇじゃねぇか。 ―――そんなこんなで1時間後、俺は無事にレジで代金を支払っていた。 「毎度ありがとうございますの♪」 レシートを受け取ればそこには目を覆いたくなるような惨劇が。 「……帰るぞ」 「えぇ、帰って早速ファッションショーね。宗太のお家で」 「それが良いわぁ、加奈美。この馬鹿の部屋、今は大掃除直後だから珍しくキレイなのよぉ」 「二人とも、そろそろ宗太殿が怒られるぞ……」 何故か俺が荷物を持ちながら、店を後にした。 「またどうぞですの~」 最後に一度、葵さんの姿を目に焼きつけようと思ったけど、晶さんに蹴られそうだったから諦めたのは俺の心の中に締まっておこう。 トップへ 進む -
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鋼の心 ~Eisen Herz~ 第30話:フロントミッション2nd アルアクラン。 グループK2が開発した最初期段階の試作型武装神姫。 試作機中最大の大きさを誇り、ストラーフ以上のパワーと装甲、アーンヴァル以上の火力を併せ持つ限界性能試験型。 後に、神姫事業に参入したUnion Steel社に譲渡され、ティグリース、ウィトゥルースの原型ともなったMMSである。 最大の特徴であるフロートユニットによるホバー滑走は、当時のK2においては未完成で終わっているが、Union Steelの技術スタッフの手で完成。同社の神姫、ウィトゥルースの、特徴的な駆動系として勇名を馳せている。 更に同社は、発展系として上半身を浮遊させることでバランス制御の補助と軽量化を両立し、真鬼王と呼ばれる重戦闘形態への変形を可能とした。 これらの技術の成立に、Union Steel社の先鋭的な高い技術力を欠かすことは出来ないが、その発想の根源となっているシステムの構想は旧K2時代に完成を見ているものである。 何れにせよアルアクランは、例え完成を見たとしても市場に出回ることが無かったのは自明だろう。 その戦闘力は、控えめに見積もっても真鬼王2体分を上回る筈であり、他の神姫とのパワーバランスが確実に崩壊するのがその理由となる。 もちろん、開発当事にアルアクランが完成していた場合、その技術のフィードバックによりアーンヴァルを始めとする各神姫も相応の強化を見たことは疑う余地も無い。 その場合、神姫事業全体が今より一段上のスタートラインを持ったであろう。 神姫年鑑2037。 「歴史に埋もれた幻の神姫」より抜粋 ◆ 「…………」 颶風(ぐふう)を伴う豪刃が唸り、カトレアの眼前を掠める。 巻き込まれれば装甲の脆弱なフランカーなどひとたまりもあるまい。 「……チッ!!」 続く左腕の一閃をサイドステップで交わし、距離を維持。 触れれば即死も充分にありうる鋏腕の影響圏に留まり続けた。 「……なんて厄介!!」 離れれば致命的な威力の粒子ビーム砲が、中距離では2門の速射砲の弾幕が、それぞれに襲い掛かってくる。 フレキシブルアームの先端に搭載された2種類の砲は、その自由度の高さから死角のない射撃を可能としていた。 だがしかし、近距離は近距離で、振り回される両腕の鋏と言う脅威がある。 挟まれ、捕まるのは論外。 かと言って、薙ぎの一撃でも容易に神姫のボディを粉砕しかねない威力。 レイブレードで鋏を斬ろうにも、表面にはご丁寧に帯磁処理が施されており、一刀両断と言う訳にはいかない。 勿論、高出力のレイブレードならば、押し付ける事で叩き切る事も可能だろうが。よほどの隙を作らぬ限り、同時にこちらのボディも両断されるのは目に見えている。 仕方無しに、2体掛かりで前後から強襲し、先に背面のフレキシブルアームを破壊する作戦を取ったのだが、6本脚に支えられたボディは振り回される豪腕にも体勢を崩す事がなく、隙は見出せないで居た。 「っ!! 残り時間は!?」 「……20秒」 「あと20秒で片付けるなんて―――」 「―――違う」 カトレアの反対側から強襲を仕掛け、鋏腕を掻い潜りながら、珍しく表情を曇らせるアイゼン。 「……もう、20秒過ぎてる……」 「……くっ」 カトレアの舌打ちの直後、作戦予定時間から30秒目が経過した。 ◆ 「ビリア!! レーザーを!!」 名を呼ばれたブーゲンビリアは、主に答え即座に砲撃形態からレーザーを放つ。 目標は敵ではない。 彼女の主、土方京子は敵を撃つのに一々指示するようなマスターでは無い。 そんな彼女が態々名指しで彼女を指名するという事は、一撃でこの状況の打開を求める場合。 彼女の意図を察したブーゲンビリアのレーザーは、最大俯角で放たれ、海面を直撃。 即座に大量の海水を蒸発させ、濃密な水煙を上げた。 「……水蒸気で防護幕を作ったとて、何処まで持つか!?」 セタやデルタ(複数)が対空弾幕を張っているが、船の大きさに対しサイズの小さな神姫ではカバー範囲に限度がある。 そもそもからして、対空弾幕とは航空目標を攻撃する為の物ではない。 地上攻撃を断念させる為の防御手段に過ぎないのだ。 もとより軍用航空機の強みは機動力と高度。 航空機側が戦闘をする気に成らなければ、地上に居る物には攻撃を試みる事すら出来ない。 故に、不利になれば即座に逃げに移れる航空目標に対し、地上からの応射では最高に上手く行って追い払うのが関の山。 それでは数は減らせない。 事実上、祐一たちの攻撃手段は迎撃に上がった3機の神姫のみ。 天海最強を誇るマオチャオ、マヤアは言うに及ばず。 京子のアルストロメリアストレリチアも一騎当千を地で行く神姫だ。 AI制御のマリオネット如きでは相手にもならない。 ―――が、数が数だ。 僅か数分の間に、合計で100機近く落としているはずだが、敵はちっとも減ったように見えない。 「……コリャだめダナ。一機ヅツ落シテモ意味無イゼ?」 「どうする、祐一やん? ネコはそろそろ弾切れになるの」 今の現状でマヤアが補給に降りれば戦線が崩壊する。 更に、アルストロメリアの燃料も余裕が無い。 2人揃って戻ってしまえば、流石に船への攻撃が増すのは避けられず、そうなってしまえば装甲など無い小型船では1分も持たずに撃沈されるだろう。 故に。 「ブーゲンビリア。……ユピテル“class3”の発射準備を……」 「御意」 京子が命じたのは、ブーゲンビリアの誇るユピテルレーザーシステムの最大出力による発射だった。 3発の化学レーザーを相乗させて放つ一撃は、最早神姫の持つ火力でもなければ神姫の戦いに必要になる物でもない。 もとより、このような対物破壊を目的とした仕様。 確かに“class3”の火力ならば問題無く、海上プラントの構造物を貫通して内部を破壊できる威力がある。 だがしかし。 ソレをわずか15cmの神姫に装備させるには如何に京子の技術を以ってしても無理がかかる。 そして、その無理を負うのは他ならぬブーゲンビリア。 砲身をマイナス数十度まで冷却した状態ならばともかく、現状で“class3”を使用した場合、照射時間は5,6秒程度。 それを僅かにでも過ぎた場合……。 「……大丈夫。その必要は無い……」 「しかし」 困ったような声を出す京子に、祐一は少しだけ微笑む。 「アイゼンたちはきっと上手くやる。……それに」 祐一の後ろ。 航空型の神姫たちが滑走路代わりに使った甲板の奥で、甲高いタービン音が響きだす。 「……今、フェータが上がる」 大出力のブースターに押し出され、あっという間に離陸速度を得た白い神姫が大空に飛び出してゆく。 「行きなさい、フェータ!! アイゼンたちの作戦が終わるまででいい。3分も稼げば充分よ!!」 『はい!! 最初から出し惜しみなしの全力で行きます!!』 帰投するマヤア達とすれ違った直後、フェータは左腕のフリッサーを解放した。 『フリッサーぁ!!』 ドンという衝撃音が聞こえるより遥かに早く、編隊を組んでいたブラックタイプが脆弱な羽根を砕かれ墜落してゆく。 AIとは言え敵も愚かではない。 標的になれば散会するぐらいの知恵はある。 だがしかし。 「そんな暇を与えなければいいだけの話っ!!」 フェータの速度が、軌道が、速さが。 それをさせない。許さない!! 上空を100mほど隔ててすれ違う別の編隊。―――通常なら攻撃目標には選ばないような位置に居るそれを、フェータは逃さない!! 根元から取り付け角度を変える可変翼と、機体を押し上げる推力を大きく偏向するベクタードノズル。 その付加を分散させるスタビライザーとカナード翼。 そして何より15cmという小ささが可能とする“超”高機動。 確かに出力は劣るだろう。 最大速度も比較にはならない。 だがしかし、最低でも数tの重量を持たねば成らない戦闘機たちに、今この瞬間、この状況において!! フェータと言う武装神姫は“それ”を圧倒してのけた!!!! 「……これは……!!」 息を呑む京子。 彼女だからこそ分る。 今フェータに使われている技術がどれほどの物なのか。 そして、京子にしか分らない。 「……これは、真紀の……」 それが、土方真紀の遺した設計だという事に。 そして、それを具現化した老人が居た事に……。 「……………………ストレリチア」 「はいです、マスター!!」 「……此方も出し惜しみは無しだ。カトレアたちを信じるぞ」 「当然なのです、勿論なのです!!」 「よし、成らば【タイフーンモード】にシフト!! 思う存分暴れて来いっ!!」 「了解です!!」 答え、ストレリチアはアーマーを全てパージする。 エウクランテと根を同じくする“それ”には、当然ながら製品であるエウクランテと同様の機能を有していた。 即ち。 「ストレリチア【タイフーンモード】シフト完了!!」 アーマーを合体させてフライトシステムを構築する能力。 ただし、彼女の物は只の鳥型ではない。 「いくですよ、テュポーン!!」 伝説に名を残す怪鳥テュポーン。 一説によればそれは双頭の怪物であったとも言われている。 ストレリチアのテュポーンは、その名の通り、二つの頭を持った怪鳥であった。 ◆ 「これ以上時間はかけられない……!!」 「……だね」 攻撃を避わしながら同意するアイゼン。 「その……。む、村上衛の神姫……。デルタといいましたね? 彼女を倒したあの突撃ならば如何です?」 「……隙は大きいけど、イチかバチかやってみる?」 カトレアは無言で頷く。 これ以上時間はかけられない。 最早、敵の装備を切り崩すような余裕はないのだ。 「……【フェルミオン・ブレイカー】で隙を作る……。貴女はその隙に距離を取ってシールド突撃を……」 「分りました」 交錯、そして分散。 しかし、アルアクランは同時に複数の目標を注視できる。 結果、近付いてきたカトレアには鋏腕を、離れてゆくアイゼンには粒子砲を選択。 同時に攻撃を行うが、二人ともそれは充分に予測している。 「ふっ!!」 「……シールド、集中!!」 カトレアはレイブレードで鋏腕を払い、アイゼンはシールドで粒子砲を弾く。 二人が狙うのはこの直後!! 「今!!」 瞬時に間合いを離したカトレアに反応し、直前までアイゼンを狙っていた粒子砲がカトレアに砲口を向ける。 その隙。 それを狙い、カトレアが粒子砲を引き付けると信じ、アイゼンは防御を捨て【フェルミオン・ブレイカー】の一撃を放つ。 「……行け」 ≪Fermion Breaker≫ 高出力陽電子砲。フェルミオン・ブレイカー。 装甲への威力よりも、むしろ攻撃範囲を重視し敵の脆弱な部分を破壊するエネルギー砲の一撃が、アルアクランの巨体を包み込む。 しかし。 「………………」 装甲表面に電流を流し、剛性を強化する特殊装甲で身を包んだアルアクランには通用しない。 が。 視界を奪えなかった訳では、無い!! 「―――シールド突撃ぃ!!」 陽電子砲の照射が終わると同時に、アルアクランへと突っ込むカトレア。 中枢である神姫部分を正確に狙った突撃がアルアクランを粉砕する。 ―――直前。 アルアクランは信じがたい速度で『滑走』し、その突撃を回避。 「―――ば、馬鹿な!?」 カトレアが驚くのも無理は無い。 それは間違っても、重量級神姫の動きではない。 強いて言うならその加速と速度は、リニアガンの“それ”。 そして、この部屋全体がアルアクランのための“レール”になっている事に気付く由も無い。 だが。 「……悪いけど、こっちは二人掛り……」 理由は知らず、根拠も無いが、アイゼンはその“まさか”に備えていた。 滑走による回避を終えて停止しようとするアルアクランの真上から、フライトモードのフランカーでシールド突撃を敢行し……。 「しぃぃぃぃるどぉぉぉ、突撃いぃぃぃっ!!」 その巨躯を縦に貫いた!! 第31話:THE TOWERにつづく 鋼の心 ~Eisen Herz~へ戻る なんだか気付くともう3週間ですよ奥さん。 時間が経つのが早すぎです。歳でしょうかね? ナイトじゃなくてもタイムベント欲しさに、オーディンに飛翔斬ぶちかましたくなります今日この頃のALCです。 っつーか仮面ライダーディケイドが異様に面白すぎる。 過去9年間放送したそれぞれの仮面ライダーの世界(原作とは違うけど……)を旅すると言う都合上、1つの世界が2話で書き切られると言うのが勝因かと。 ガンダム00やコードギアスのように情報量を多くする事で無駄な描写を徹底的に削ぎ落としているのが大きいのでしょう。 願わくばこのまま、響鬼の後半を台無しにして下さりました(以下略)……。 つーかSS書かずにオリジナルの神姫改造に精を出していたこの頃でした。 ALC。 -
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ウサギのナミダ ACT 0-5 ■ 神姫も、夢を見る。 スリープモードで、クレイドルで充電とデータのバックアップを行っているとき。 それは神姫にとって「睡眠」にあたる。 マスターによれば、睡眠中に脳が蓄積された情報を整理し、その時に漏れでた情報を認識すると、夢になる、のだそうだ。 だから、データのバックアップ中に、わたしたちが認識するものも、やはり夢なのだ。 わたしは、夢を見る。 いつも同じ夢、恐い夢。 わたしの前には男の人。 顔は影になっていてよくわからないけれど、目だけが異様な輝きを放って、笑っている。 彼は、わたしに手を伸ばす。 わたしは身をすくめる。これから、自分の身に起こる出来事を予想しながらも、あらがうことはできない。 「や……っ」 男の人がわたしを掴み、顔の高さまで持ち上げる。 大きな顔が、わたしの視界いっぱいに広がる。 わたしは、恐くて、身体を震わせる。 でも、ここは彼の手のひらの上だ。 逃げ場なんてない。 彼は、わたしを両手でつまみ上げながら、さらに顔を近づけてきた。 息がかかる。臭い。 顔の下の方にかかった影が、横に一筋裂けた。 裂け目が広がると、ぬらり、とした軟体動物のようなものが出てくる。 舌だった。 「あっ……や、あ……っ」 男の人の舌は、わたしの身体をなぞる。 脚の先から、ふともも、ヒップからウェストのライン。 股間と胸は、特に念入りに舐められる。 太い舌先は巧みに動き、わたしの弱い部分を的確に責め立てる。 いやなのに。いやなのに。 いやらしい舌の動きを、わたしの身体は性的快感と認識する。 いやだという気持ちと、なぶられる快感が、相乗してさらに気持ちを高めていく。 「あ、あ、はあぁ……あぁ……」 頭がぼうっとする。 何も考えられなくなってくる。 わたしの身体は男の人の唾液にまみれ、いやな臭いを放っている。 その臭いすらも快感を助長する芳香に変わる。 わたしは快感に身を委ね、なすがままにされていた。 ふわふわとたゆたうような感覚に、わたしはどっぷりと浸っている。 と、突然。 ぼきり、という鈍い音。 「ーーーーーーーーーーーーーーっ!!!」 ふわふわとした感覚は、爆発した激痛に吹き飛ばされる。 声が出ない。声にならない悲鳴。 さらにまた。 わたしの身体から鈍い音が響く。 わたしは身を焼くような激痛の出所を、左腕と右脚であることを、かろうじて突き止める。 だからといって、何もできない。 わたしはただ、大きく目を見開いて、堪えきれない痛みにぱくぱくとあえぎながら、涙を流すだけだ。 さらに、残りの四肢も折られた。 わたしは身動きもとれず、ただ激痛に悲鳴を上げる。 目の前の人を見る。 その男の人の顔は、相変わらず影になっていたが、その二つの目と裂け目のような口だけがはっきりと見える。 笑っている。喜んでいる。 わたしがのたうち回る姿を見て、嬉しがっている。 彼の方から、何かが飛んできた。 べちゃり、と粘液のようなものがわたしに降りかかる。 白く、べたべたの粘液は、何かすえた臭いがする。 いやだと思っても、いまのわたしには、この粘液を払うことさえできない。 男の人の光る両目が、さらにゆがんだ。 わたしを掴み上げると、わたしの背に指を当てたまま、親指でわたしの胸を押す。 わたしは恐怖した。 身体を折る気だ。 「や、めて……ください……やめて……」 やめて。死んじゃう。 わたしがどんなに懇願しても、そんな様子すら楽しんでいる。 わたしの背が限界を超えて曲がっていく。 折れてしまう。 死んでしまう。 たすけて、だれか、たすけて……だれか……。 ごきん。 「あああぁぁっ!!」 わたしは悲鳴を上げて、飛び起きた。 暗い。 あたりは静かだった。 時計の音が妙に大きく聞こえる。 それからわたしの荒い息。 「はあ、はあ、はあ……」 わたしは自分の身体を確認する。 どこも、折れてなどいない。 感じていたはずの激痛も今はない。 手は、白い布……お布団代わりの、マスターのハンカチを握りしめている。 「夢……」 わたしはやっと安堵して、深く息をついた。 怖い夢。どうしても見てしまう、かつての現実。 まだあの店を出て何日も経っていない。 過去の記録……思い出にしてしまうには、あまりにも最近の出来事すぎる。 白い布を握りしめる手元に、黒い染みが広がった。 瞳から涙がこぼれ落ちる。 夢は過ぎ去ったというのに、怖くてたまらない。 怖くて、怖くて、それでもわたしには為す術がなくて。 ただ一人、すすり泣くことしかできない。 突然。 あたりが明るくなった。 真っ暗だった部屋の明かりが灯ったのだ。 スイッチのところに立っている人影は、マスター。 マスターは、寝間着姿で、髪は乱れ、目は半眼のまま、こちらを向いている。 とてつもなく不機嫌そうな表情。 起こしてしまった。 わたしが、悪夢に悲鳴を上げたせいで、マスターのお休みを邪魔してしまったのだ! わたしは、マスターに睨まれて、目を見開いたまま硬直してしまった。 まるで蛇に睨まれた蛙だ。 わたしは身動きをすることもできず、絶望的な気持ちでマスターを見つめる。 これから、どんなひどい仕打ちが待っているだろう。 マスターは大股に歩いて近寄ってきた。 思わず、身を縮めてしまう。 ……ところが、マスターはPCに近寄ると、立ち上がっていたアプリケーションを次々に閉じて、PC本体も電源を落とした。 縮こまっているわたしを、もう一度見る。 非常に不機嫌そうな表情は変わらない。 わたしはクレイドルの上でさらに縮こまる。 すると、マスターはクレイドルごと、ベッドのサイドボードに持ってきた。 ケーブルをPCからコンセント供給用アダプタにつなぎ直す。 クレイドルの充電ランプが灯った。 データのバックアップはできないが、充電はできる。 わたしが何もできずに硬直していると、マスターはさっさとベッドにあがり、布団をかぶった。 首だけがこちらを向いて、また睨まれる。 「明日、延長ケーブルを買ってくる。寝る」 マスターはそれだけ言うと、枕に頭を沈ませ、そしていくらもしないうちに規則正しい寝息を立てはじめた。 わたしはあっけに取られていた。 これはどういうことなんだろう。 わたしは、つまり……マスターのそばで眠ることを許された、ということなんだろうか。 なぜ? お休みのマスターを邪魔したのに? あんなに不機嫌そうな顔をしていたのに? ……期待なんて、してはだめだ。 わたしは本来、この人の武装神姫になんてなる資格がないのだ、初めから。 でも、ベッドのサイドボードから見下ろすマスターの顔は、見たこともない安らかな表情で。 いつも冷静沈着、無表情で少し冷たい印象の男性ではなく、無邪気な少年のように見えた。 そんなマスターの顔を見つめていると、不思議と穏やかな気持ちになっていく。 おかげで、さっきまでの怖かった気持ちは、だいぶ薄らいでいた。 わたしはクレイドルの上で丸くなると、布団代わりのハンカチを引き寄せた。 □ 朝、目が覚めると、PCの電源が落ちていた。 クレイドルも、その上にいたはずの俺の神姫もない。 焦って、辺りを見回すと、俺の枕元にクレイドルは移動しており、その上でティアは眠っていた。 ほっとする。一瞬焦ってしまった。 そういえば、夜中にティアの叫び声を聞いて、一度起きたのだったか。 何が原因かはよくわからなかったが、ともかく心配だったので、枕元に持ってきた……のだと思う。 半分寝ぼけていたらしく、記憶は曖昧だ。 でも、なにやら心配だったのは、やはりまた、ティアが泣いていたからだ。 いま俺にティアの涙を止めてやることができなくても、せめてそばにいてやることぐらいはできる、と思う。 ……ただの自己満足だったとしても。 クレイドルの上で丸くなって眠るティアを覗くと、安らかな寝顔が愛らしかった。 小さく安堵のため息をつく。 まもなくして、ティアの瞼が瞬いた。 「あ……」 俺を見て、眠気を一気に吹き飛ばすように起き上がり、あわてて居住まいを正す。 「お、おはようございますっ……」 そんなにあわてなくてもいいのに。 しかし俺は素っ気なく、 「おはよう」 と返事した。 俺は、ティアの前ではできるだけ無表情を通すと、決めていた。 ティアが俺のことを信じ、自分から俺の神姫と認めてくれる時まで。 まずは、俺が無害な人間であることを信じてもらわなくてはならない。 そう思っていた。 ■ その日から、わたしの、武装神姫としての訓練が始まった。 主にトレーニングマシンを使ったバーチャルトレーニングだ。 まず、一通りの武器を使ってみるところから始まった。 片手で持てる銃火器を中心に、両手持ちでも軽量な銃、ナイフなどの刀剣類や、トンファーといった近接武器まで。 使い方は、素体交換時にプリセットされた戦闘プログラムと基礎データでだいたい分かっている。 出現する的を撃ち落としたり、ダミーの敵を攻撃する、といった単純な内容を黙々とこなす。 マスターはPCでわたしのデータを取り、どの武器がわたしと相性がいいのか検証する、ということだった。 マスターは課題を出すだけ出して、大学に行く。 わたしは、マスター不在の間、ずっとマスターの課題を消化していく。 大学から帰宅したマスターは、毎日作業スペースに向かい、何かを作っているようだった。 こんな日が数日続いた。 マスターが不在の昼間、私は一人、黙々とトレーニングに励む。 その間にいろいろなことを考えた。 だけど、結局、何も分からないままだった。 一つだけ分かっていることは、進むべき道はマスターだけが知っているということだった。 だからわたしは、マスターに言われるがまま、ついていくしかない。 マスターはわたしを使って夢を叶えたい、と言った。 だから、たとえ嫌がられようとも、マスターの夢を実現していると示し続けることが、わたしの存在意義なのだ。 そう結論したわたしは、またトレーニングを消化していく。 ある夜。 わたしはまた夢を見る。 薄気味悪い男の人の影。瞳だけが異様な輝きを放っている。 黒い手が、わたしに手を伸ばしてくる。 これから起こる仕打ちを想像して、わたしは身を縮める。 ……ところが、その手がわたしを掴む寸前、別の手が伸びてきて、わたしが乗っているクレイドルを掴んだ。 そのままするり、と視線が移動する。 わたしはクレイドルごと、別の手によって運ばれていく。 薄暗く寒々とした部屋は、柔らかな光に包まれた部屋に変わっていた。 その手は、クレイドルを自分の枕元に運んできた。 手の主はマスター。 マスターは非常に不機嫌そうな顔をしており、口をへの字に曲げている。 マスターは、わたしを睨みつけるように見る。 わたしが視線の鋭さに、びくり、と身を震わせると、 「明日は公園に行くぞ」 と言って、そのまま枕に頭を沈めた。 まもなく、規則正しい寝息が聞こえてきた。 なんだかちぐはぐな成り行きに、わたしは首を傾げた。 そして、不意に目を覚ます。 暗い部屋。 PCのディスプレイだけが、部屋を青白く照らしていた。 まだ真夜中だ。 あたりは静まり返っている。 規則正しい寝息が聞こえてくる。 そちらに視線を向けると、マスターの寝顔があった。 日頃の緊張を解いたような、少年のような寝顔。 夢の中で見たマスターの寝顔と同じ。 マスターのその顔を見るたびに、わたしは優しい気持ちになれる。 マスターの役に立ちたいと思う。まだなんの役にも立っていないけれど。 マスターの気持ちに応えることができるようになれば、いつものような無表情ではなく、この寝顔のように優しい顔を向けてくれるだろうか。 そうだったらいい、と思いながら、わたしはまた眠りにつく。 マスターになった、この人の存在が、わたしの中で意外にも大きくなっていることを感じていた。 次へ> トップページに戻る
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連続神姫ラジオ 浸食機械 ~機械仕掛けのプリンセス~ はじかき はい、浸食機械全24話、終了いたしました。最後までおつきあいくださった皆様、お時間を割いてちょっとでも読んでくださった方々、誠にありがとうございます。当方が勢いとのりで始めた長文、かなり癖のある文体だったと思いますがいかがだったでしょうか?ご意見ご感想お待ちしております。 当初は新聞の小説コーナーを目指して、短く・読みやすく・短期間で続編をだすことを目標にしていたのですが、まあものの見事に間が開いてしまいまして、結局一年越しの完結となりました。それでも三千人近くの方が足を運んでくださっていることを考えると武装神姫というコンテンツの強さを実感します。こんなに足はこんでもらったのはじめてだよ。 作者としてはいろんなキャラクターの神姫への愛を描いてその中で主人公がどんな未来を選ぶのかというのがテーマにあったりします。その辺はうまく伝わってくれたでしょうか。俺設定、独自解釈などありましたが大丈夫だったでしょうか。終わった今は、それだけを考えています。 さて、ここからはおまけコーナーとなります。はしょったところとか元ネタとかここを見てとかそう言ったところをつらつらと書き込んでいくつもりです。もし興味がおありでしたらここからのカーテンコールにもおつきあいください。それでは、皆様の神姫ライフが実りあるものであることを心から願っております。 完 戻る 疑似ライドシステムとか 要は他のロボットとかにもライドできて神姫と一緒に戦えたら楽しいなと思って作った設定です。機能としては乙女回路と女帝回路の違いと思っていただくのが一番わかりやすいかと。このシステムがロボット産業含め各地に普及していることで今回の事件が起こります。説明書を読まずに直感でイメージ通りに動かせるシステムとか便利だと思いませんか? 最後の樹のイメージ 劇中でも言ってますがまんまバベルの塔です、不思議の海のナディアの最初の方に出てきた方の。 プルミエと勝 今回の主人公。やっぱり主人公は素直で最初は弱くてニュートラルじゃなきゃねということで抜擢。 ルートと浩太 携帯コミックからの参戦。ちょい役でもいいのでいろんな所からキャラをだしたかったのです。ルートさんは本当にかわいいのですがもうダウンロードもできませんから広めることもできないのが・・・何のかんの言ってマスター思いのいい子なんですよ。 ハーデスとガイア ヒロイン候補。隠しテーマは神姫のための強いマスター。バトマスから参戦。ガイアは原作をやる限り戦うのが好きなだけのキャラのイメージだったのでこんな感じに。あとは普段ハーデスさんを溺愛してる感じがしたので結構ラブラブに。 ツガルとステベロス バトマスから参戦、完全にちょい役。 ヘンゼルとグレーテル 隠しテーマは愛をいいわけにしている人。とはいってもヘンゼルのことは大切に思っているはずなのですが。昔彼女のひどいことをしてしまったのでその後悔から抜け出せずに立ち止まってしまってる人。バトマスから参戦、今回のメインヒロイン。ゲームを見たときから一目惚れで、是非彼女のその後とか成長がかけたらなと思っていたのでヒロインに抜擢。彼女を幸せにしてあげたいと思っているマスターは多いのではないでしょうか。でもエンディングは某大往生のショーティアという。 rootと西園寺 悪役をだすならこの人しかいないと言うことで抜擢。性格は二転三転して結局野心を捨てていないキャラに。rootはGP03の中の人みたいなもの扱いなので普通の神姫として登場。擬人化のイメージ元はどこかにあげられていた擬人化絵から拝借。ちなみの元々この話はゲームとして作りたいなと思っていたので当初はrootエンドとかも考えていました。 清四郎と楓 オリジナルキャラにしてヒロイン候補。OVAを見ていて小学生が神姫に興味を持つなら近所のお兄さんに影響されてとかの方が面白いかなと思い清四郎は生まれました。性格はラジオロンドの頃のあすみすそのままです。あーしとか特に。とにもかくにも男前のキャラ。そしてどんな結末でも結局は結ばれず年上のおねいさんへの初恋という形で終わるキャラ。 楓はデビルサバイバーというゲームの柚子という子が骨組みになっています。ヒロイン候補で彼女の手を取って脱出という選択肢もありますが、その場合神姫を捨てて普通の人間エンドになります。コレはどうなのでしょうか。人間であることとシナリオのせいでものすごく割に合わない子になってしまいました。ちなみに隠しテーマは神姫に負ける人間。没にしましたが「愛し愛されるためだけに生まれたあんた達なんかに私たちの苦しみがわかるもんか」という台詞を言わせたかった。 コウガ 今回の元凶。わかりやすいラスボス。人間に復讐したい、でもしたくない、だから誰か止めて。今回の事件で大いに穴があったのはこの辺の心境が原因です。 戻る
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暫定的な情報提供欄です。 気になったら色々書き込んだり編集したりしちゃってください。 名前 ジルリバーズの武装ランク2のJLサーキュラソー・リアが入荷しません。どうしたら手に入りますか? - 名無しさん 2013-08-16 22 04 07 攻略ではないんですが武装神姫バトルマスターズmk.2のダウンロード神姫、武装などを - ダイゴ 2012-11-20 07 16 14 自己解決。ストラーフクイーンをクリアしてなかっただけでした。 - ヴォルト 2012-01-01 12 53 12 ただ今10体目の神姫ストラーフがLOVE20になったのですが、何故か未だに称号「強さの求道者」以降の称号が取れません。データの改造等は一切やっていないのですがこれってバグなんでしょうか? - ヴォルト 2011-12-31 13 16 11 ナックルショット杯でトンファー+MTを賞品として獲得および入荷確認しました。 - 名無しさん 2011-11-19 19 13 22 例えばダブルフロント復活祈願杯で、スクール水着を装備していれば他の箇所に防具を装備して参加できる。 - U.N. 2011-11-08 15 08 29 DLC導入後は公式戦のコスプレバトルのレギュレーションが緩和され、指定防具を装備していれば他の防具を装備できる。 - U.N. 2011-11-08 15 04 11 ジャンクショップってどのくらい行けば行けるようになりますか? - 名無しさん 2011-10-18 20 51 08 称号でオールバトラーが出てるのに闘神の玉座が出ません>< 。 ライバル一覧でもみんなSになってます。 見落としなのでしょうか? - ニコ 2011-10-11 17 01 44 ゲーセンの美馬坂とか倒しましたか? - 名無しさん 2011-10-17 19 36 52 HS・アネーロ2typeSなんだがカタログでしか出ないのか? - 名無し 2011-10-09 01 24 10 ↑何か持ってたんだが・・・、ちなみにカタログDLしてないし、ショップに出てなかった - 名無し 2011-10-09 01 26 19 スマン、ショップに入ってた>< - 名無し 2011-10-09 01 58 35 マオチャオでの新渡戸初戦会話でテキストが「勝負の世界は厳しく、非常なものなのだ!!」ってなってるけどこれは非情の誤字かな? - 名無しさん 2011-10-04 01 59 58 ごめんmk2のWikiと間違えた… - 名無しさん 2011-10-04 02 04 20 おそらく、+GR武器は一週につき3つまでしか入手できない - 名無しさん 2011-09-18 16 27 58 そんな事は無い。自分はMk2発売前に称号コンプするため1週間で10以上入手した。 - 名無しさん 2011-09-20 16 04 48 専用防具 - アーク型 2011-08-28 00 29 23 センサーブレードは誰を倒せば入荷するんですか?誰かわかりますか? - 名無しさん 2011-08-26 16 00 34 ストラーフクイーンとゲーセンの美馬坂が持っているから倒せば一定の確率で入荷する。 - 名無しさん 2011-08-27 16 42 43 情報ありがとうございます。 - 名無しさん 2011-08-28 18 03 22 RA咆哮の発動後に△+○ボタン押してもキャンセル出来ないのだがみなさんどうですか? - かっきー 2011-08-23 22 47 41 レイディアントフット白+BKの入手方法がわからないのですが、誰か教えてもらえませんか? - ガルム 2011-07-30 18 57 33 つwiki内検索 - 名無しさん 2011-07-30 19 59 36 やってみましたが、入手方法の所が空欄になっててわかりませんでしたが? - ガルム 2011-07-30 21 09 41 ショップ売りの武装は装備してる敵神姫を倒すと入荷する - 名無しさん 2011-07-31 03 03 19 なるほど、早速やってみます!ありがとうございました!! - ガルム 2011-07-31 19 02 12 神姫を育てる際、タイムギリギリまでバトルして高経験値か、回数をこなすのどっちが効率がいいですか? - 名無しさん 2011-07-27 22 51 19 順調にLOVEが底上げできてます。さまざまな、ご意見感謝です。 - 名無しさん 2011-07-29 16 10 23 CHAを高めに確保してライドレシオを1,2回狙い回数こなすほうが効率いいかと。ビットや機関銃装備で大会がオススメ。 - 名無しさん 2011-07-28 18 00 30 個人的には回数をこなしたほうがいいかな。大会のフィジカルクイーンでパイルごり押しとか。金も貯まるし - 名無しさん 2011-07-28 16 08 04 装備品とアクセサリーは全部で何種類ですか? - nemesisfate 2011-07-25 12 58 44 白き翼がショップに入荷してません。入手方法の詳細お願いします。 - 名無しさん 2011-07-24 18 46 49 タッグ狙撃4、タッグピット4の3戦目で敵が装備しています。wiki内検索やCtrl+Fでのページ検索を活用しましょう。 - 名無しさん 2011-07-25 02 47 24 入荷しました。ありがとうございます。 - 名無しさん 2011-07-25 15 05 32 ガントレットピンク+BK が出ません どなたかご存じですか? - 名無しさん 2011-07-24 12 35 52 チャレンジカップG2で入荷できたと記憶してます。 - 名無しさん 2011-07-24 16 37 06 訂正:G3です - 名無しさん 2011-07-24 16 38 53 ありがとうございます - 名無しさん 2011-07-24 18 25 39 ガイアの戦闘で取れる「ヘルゲートブラスター+GR」は、チェレンジG4方が取れやすいかもです。 - 名無しさん 2011-07-22 23 19 58 ビームリングアーム水色+BKクリア後ヴァルハラ真田有希那でプレミアムショップにでます。 - 名無しさん 2011-07-22 18 23 14 90戦!?気が遠くなる・・・ - 名無しさん 2011-07-21 23 13 05 ↓(すいません。ここから続きで)入手しましたが。欲しい時限って中々出ませんでした・・。これって不運ですか? - 名無しさん 2011-07-21 22 04 03 竹姫葉月の時は90戦位で+GR - 名無しさん 2011-07-21 21 34 46 ストラーフのlove16イベント「切なる願い」は公式バトル後は発生せず、ゲーセンでのバトル後は発生を確認しました。 - 名無しさん 2011-07-21 00 09 22 イベント会話中の選択肢で「それはできない」を選択するとイベントログに「6.ためらい」が追加されました。 - 名無しさん 2011-07-21 00 21 09 それは「切なる願い」でですか? - 名無しさん 2011-10-10 09 34 25 +GR武装を入手できる確率ってどのくらいですか?クリア後ヴァルハラ何十回やってもでません。 - 名無しさん 2011-07-20 22 47 47 os-35 - 名無しさん 2011-07-19 23 13 09 OS-35AライフルEx+GRて、連射可能ライフルなのに‥ - 名無しさん 2011-07-19 23 23 16 クリア後ヴァルハラで吉川素子倒して「レイディアントリア白+BK入荷がしました」と出たのにショップ行ってもなかった。どうゆう事? - 名無しさん 2011-07-19 18 24 08 ベスト版で、EXニューゲーム始めたら『HS・アネーロ2typeS』がこっそり入荷されてました。無料カタログは持ってません。(というよりstoreに入れない……) - マスター三週間目の名無しさん 2011-06-19 21 53 23 プティアルム杯クリア後ロッドミサイル杯とソードランチャー杯出現 - 名無しさん 2011-04-28 20 33 02 クリア前のヴァルハラでも奪われた武装がショップ入荷してました - 名無しさん 2011-04-24 06 09 31 クリア後のクラブヴァルハラで武装を取られるとショップに入荷してない武装だと人知れずショップ入荷される - 名無しさん 2011-04-19 12 26 33 ヘッドパーツ「アングルブレード」はストラーフのイベント「テラ孔明」だけでなく、その次の「イーヴィルとの再会」でのイベント戦闘に勝利しても入荷されました。 - 名無しさん 2011-04-06 14 33 37 ガイア固有レールアクションは、急上昇・急下降性能で十分回避可能 - 名無しさん 2011-03-20 03 03 34 ハンマーライフル杯でレイディアントフット黒BKがショップ入荷しました - 名無しさん 2011-03-18 19 28 34 BKピストル+IR、ショップ入荷がF1予選火器属性タッグのみと武器ページに書いてありますが、F1予選武器制限タッグをクリアしたところショップに入荷しました@ベスト版 - 名無しさん 2011-03-07 01 04 42 スモーカー杯・ブレードクイーン以外の参加制限武器小カテゴリーの大会は、前提条件さえ満たしていれば、ヴァルハラの千歳・ガイアコンビとの戦闘後、参加可能になるようです - 名無しさん 2011-02-02 03 55 26 今更ですが・・・ マオチャオ型、イベント「これなのだ!」発生はLove11です。なお、発生時強制バトルあり。↓ - 名無しさん 2011-01-28 15 59 31 相手は霧崎メルヒオット(マスター)・スイーフ(神姫)で、勝利時に称号「愛の証」を獲得しました - 名無しさん 2011-01-28 16 01 45 「神姫にヤバい名前はつけられない」みたいな事書いてる人居ましたが、フブキに「クズ」と「ジャンク」をつけることが出来ました。 - 名無しさん 2011-01-05 21 44 45 情報提供ログ0720~ 情報提供ログ0717~
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登録日:2012/09/16(日) 22 53 38 更新日:2020/07/04 Sat 22 49 01 所要時間:約 3 分で読めます ▽タグ一覧 エージェントメイド コガラシの被害者 ドジっ娘メイド フブキ メイド 仮面のメイドガイ 巨乳 暗器 毛糸のパンツ 腹巻 豊口めぐみ 隠れ巨乳 おっちょこちょいのドジっ娘メイd △メニュー 項目変更 この項目が面白かったなら…[ガイっと] 誰がドジっ娘ですかーーーー!! ヌファ!? 氷の微笑み 赤井 丸歩郎の「仮面のメイドガイ」に登場するメイド。 声 豊口めぐみ さる大富豪、大富士原全重郎の孫娘&財産継承者である富士原なえかのメイド兼護衛のエージェントメイド。 容姿端麗で上品な言動、素晴らしいスタイルなどからついついお姉さんに見えてしまうが、なんと彼女は19歳。 普通なら高校卒業したての女子大生である。 「メイドガイテイマー」としてメイドガイの暴走を制御するのが役目だが、S級メイドの名に恥じない、完璧な家事スキルを持っている。 更にエージェントメイドであるために戦闘能力も高く、彼女は針や毒物、暗器などを使用するスタイルである。 肉弾戦はあまり得意ではなく、丸腰ならばちょっと強い女の子程度。 苦手って言っても釘バットで頭カチ割るけどな!! 装備はメイド服に収納されており、装備とメイド服を含めた体重は85キロにもなる。 それでいてあの身のこなしはやはりエージェントメイドならではのものだろう。 また、ミニスカメイド服などはアラシの教育によるものか、全力で拒否する傾向がある。 初出はメイドガイと共に1巻冒頭から、 「近寄る男は刺客かもしれない」 とまさに氷の微笑みを浮かべながら吹き矢で狙撃していた。 この時の彼女の笑みは一部の男からすれば至高そのものであり、 後述の属性からこの場面以外に見ることができないため非常に価値の高いものである。 あの微笑みを浮かべたフブキさんに踏まれたい方はタツマキさんに大金を貢げば擬似的に体験できると思うよ。 また、作中で巨乳として知られており、学校・大富士原陣営ではなえか(B88)に次ぐ巨乳である。 着痩せする体質なため、メイド服の上からはわかりづらい。 下着は冷え症なため、毛糸のパンツを着用する事が多い。 メイドガイと違い、れっきとした人間なので体調を崩す事もある。 就寝時は腹巻(本人はウエストウォーマーだと言い張る)も愛用。 余談だが、フブキさんの下着は下着ドロの間では数百万円の価値があると言われている。 (なえかは7万円) 他にも、メイドガイよって改造されたミサイル下着を(知らぬ間に)着用する事もあり、よくノーパンに。 良いなぁ、海ニシキゴイ…… また彼女は、 ドジっ娘メイド なのである。 「ドジっ娘? あぁ間違えてご主人様に毒入りのもの食べさせちゃって『あぁん、もう私ったらぁ!』とか言う奴? ありきたりじゃね?」 彼女はそんな安物のドジっ娘メイドではない。 ガーターベルト騎士団の前でそんな事を言ってみろ、 死ぬぞ 彼女のドジっ娘スキルは普段は見られない。何たって彼女はS級メイド。日常生活では完璧なのだ。 そして彼女のダメっぷりが見られるのは非日常。つまりは奴が動くとき。 そうなれば1巻冒頭でのカリスマなんて何処へ消し飛んだのか、あっという間にギャグ要員へと変身を遂げる。 彼女の愛らしいドジっ娘ぶりは是非、本誌を購入して確認して頂きたい。 可愛いっす、マジで。 因みに、祖母にアラシ、母にタツマキがおり、二人共見た目は凄く若々しい。 特にタツマキはフブキとそっくりで、それによりフブキが誤認逮捕されかけた事も。 追記、修正をする者は刺客かもしれない…… クックックッ、今更になってカリスマを取り戻そうと足掻いても時既に遅し 貴様は既に、ドジっ娘メイドとして生きていく他ないのだ!! 言わないでーーーーー!! △メニュー 項目変更 この項目が面白かったなら……\ポチッと/ -アニヲタWiki- ▷ コメント欄 [部分編集] フブキ「爪弾くはドジっ娘の調べキュアフブキ! って誰がドジっ娘ですか!」 -- 名無しさん (2013-11-03 11 53 52) 名前 コメント
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※漢字の読みは「シャラタン」 入手条件 性格 声優 性能プラス補正アビリティ マイナス補正アビリティ ライドレシオMAX時の上昇能力 EXカラー イベント 入手条件 PlayStation®Storeにて神姫カタログ第2号よりダウンロード購入 『神姫素体(600円)』 『武装セット(1,000円)』 性格 基本性格設定は上品だが、やや世間知らずなところもあり、対戦相手に不快感を抱かせる恐れもある。 具体的には敗北時台詞全般。露骨に相手を挑発するものが多い。 性格付けとは話は異なるが、ベイビーラズも含めコストの割に専用防具の性能が少々低め。 ランク4の防具とさほど変わらない為、専用装備で固めた場合はゴリ押しはやめよう。 声優 高垣彩陽 性能 能力値 LP SP ATK DEF DEX SPD BST 補正 C S B B B B B ※推測。数値は全てフブキ型と同様。 プラス補正アビリティ SP+1 マイナス補正アビリティ LP-1 ライドレシオMAX時の上昇能力 攻撃力,武器エネルギー回復速度,ガードブレイクダメージ EXカラー A シルバー(デフォルト) B ピンク C グリーン イベント イベントは発生しません。
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…… この世に生を受けた「自分」の前に佇む人物。 「彼」は「自分」のオーナーなのだろうか。 「彼」はこちらを見据え、諭すような言い方でこう告げた。 「自分の持つ"可能性"を限界まで追及してくれ。…それだけだ」 「彼」はそれだけを告げると、静かに去って行った。 …薄暗い廃墟の中。 天井の裂け目から漏れ出る光を反射し輝く鏡の破片。 破片をのぞき込み、映し出された姿を見てすべてを理解した。 「可能性…か」 「自分」は、自らを映す破片を粉々に踏み砕いた。 ……… …… … 無頼19「ヒカルの夢」 途中経過は省略して、僕はメンテナンスショップに居る。 ヒカルの定期メンテの為だ。 「なんかいやだなぁ…、バラバラにされるんでしょ?」 「安心しろよ、そのままお陀仏なんて事はない筈だから」 「ハズは余計でしょ!?」 そんなカンジでいつも通りの会話が進む。 おっと、ようやく順番が回ってきたか。 「次はヒカルか…、どことなく簡単そうだ」 「長瀬さん…、なんか疲れ気味みたいですけどどうしたんですか?」 「どうしたもこうしたもないよ…、…アレのせい」 そういって指差したのは一枚のポスター。 『アオゾラ町神姫センター主催 武装神姫バトルロンド大会ウォードック杯、11/30開催』 …ああ、なるほど。 「大会に向けて定期メンテナンスを繰り上げて受ける人が多い、と言いたいんですね?」 「その通りだ。おかげで常時フル回転、久しぶりの休みもつぶれてしまったよ…」 そう言いうなだれる長瀬さん、他にいろいろあったのだろうか? 「まあ、色々あるのさ…。…一番終わるのが早いのは…ちょうどいい、メィーカーだ」 ……… 「ふぎゅう…」 フラフラになって出てきたメィーカー、任せて大丈夫かな? 「メィーカー、終わったばかりだが次のメンテだ」 「ご…5分だけ休ませて下さいぃ…」 そう言いバタッと倒れるメィーカー、人間だと過重労働で訴えられそうだ。 「あら、彩聞君も来ていたのですか?」 後ろから声、振り向けばそこに居たのは先輩。 「先輩もですか? メンテ」 「零牙のメンテが終わったので、引き取りに来たんです」 先輩の表情はどこか嬉しそうであった。もしかして何か企んでる? 「メィーカー、これ以上客を待たせるな」 「うう…わかりましたぁ…」 メィーカーが復活したので後は任せるとするか。 「ほらヒカル」 「んー…、そのまま帰らないでよ」 誰が帰るか。 手続きを終わらせ、そそくさとその場を離れる。 呼ばれるのは最低でも1時間後、それまで神姫ショップで買い物でもしてるか…。 ~・~・~・~・~・~・~~・~・~・~・~・~・~ 「はい、ではスリープモードに入って下さい」 MMSサイズに仕切られた術式室、その中の一つがメィーカーの受け持ち区域である。 工具はすべてMMSと同規格のサイズであり、人間の職員が介入する場合は別の術式室が用意されている。 「顔見知りといっても、体をいじられるのはちょっとなぁ…」 「あら、彩聞さんと深い関係になってないんですか?」 「な…なにいってるですか!?」 顔を真っ赤にして目をむくヒカル。 「冗談ですよ」 クスリと笑いながら使用機器の最終チェックを終了させるメィーカー、いつでも開始可能である。 「ささっ、さっさと眠らないと強制的に落としますよ?」 「それは勘弁、………」 小さな電子音と共に、ヒカルはスリープモードに入った。 「ゆっくりしていってね!…じゃなくて、ゆっくりお休みなさい…」 そう言いつつ、早速分解を始めるメィーカーであった。鬼だ(爆) さて、ここからはヒカルの夢を覗く事にする。 何?犯罪だって?、ナレーションだから別にいいのだ。 ~・~・~・~・~・~・~~・~・~・~・~・~・~ 「おっす形人」 「一深、何でここに居るのが判ったんだ?」 舞台は真昼間の公園、中央図書館のとなりにある大きな公園である。 「私がお姉さまの匂いを辿って来たのです!」 犬か、お前は。 「リック、女の子は…えっと…なんだっけ?」 「"エレガントに"だ」 しかしヒカルの中の人はリュミエールと同じではないのだった。 その時! 白い影が目の前を通り過ぎ、形人がいなくなっていた! そしてその影は一深たちの目の前に着地し、白いマントとフードを羽織った女性の姿をとった。 「な…誰だお前は!?」 目の前に佇む白いマント女を指さし一深が吠える。 「教えませんよ」 更に飛び上り、ついでに一深とリックを踏んづけて飛び去って行った。 「な、何なの一体…!?」 その場に残されたヒカルは憤慨するだけであった。…しかし! 「それどころじゃないや、早く追わないと…!」 ヒカルはそう言い、目の前の草むらに飛び込んだ。 …… 「…風よ!我の姿を覆い隠せ!」 一声と共に風が吹き荒れ、それは竜巻となってヒカルを覆い隠す。 異常気象甚だしいが、夢だから省略する。 スタッフ(杖)と小銃が合わさったようなものを掲げ、ヒカルは紡ぎだした。…呪文を。 「我が名と技を背に我は実行す。我はヒカル、超常なりし法と理の使いなり」 ちょっと待て、それはまかでみではないか。専用のものが浮かばなかったのか!? 「光よ、風よ。我を戦乙女へと変えよ!」 …もうちょっと捻れなかったのか…? 閃光と共に姿が一瞬で変わり、サイズが12/1…つまり人間大へと変わっていた。 その装束は"管理局の白い悪魔"を連想させる…というか、似過ぎである。 では、変身プロセスをもう一度見てみよう。 ~・~・~・~・~・~・~~・~・~・~・~・~・~ 「風よ、光よ。我を戦乙女へと変えよ!」 彼女が秘める魔力は人間の1/12しかない。そのため魔力を装填した10mmカートを多数内蔵したスタッフ"フィリア・リスティック"を変身補助に使用する。 所定のワード(呪文)を唱える事によりカートが一つ消費され、その身体を一度分子分解し光と風を魔力で物質化したものを使い人間大に再構成する。 次に自らの魔力を使用し一糸纏わぬその姿を風の繊維に包みこむ。繊維は絡み合い、さらに防御魔法を織り込むことによって通常兵器はものともしない無敵の服と化す。 最後に光の分子が障壁魔法として服に模様をつける事によって、彼女の変身は完了する。 ちなみに補助が必要ゆえ、変身には約1秒掛かるのが難点である。 「待ってて!今助けるから!!」 スタッフを掲げ、颯爽と飛び立つヒカル。 …一深とリックは無視ですかそうですか。 …… 都市上空を音速の3倍もの速度で飛行するヒカル。 当然下の町は衝撃波で大惨事となっているが…夢なので割合する。 そんな彼女の視野に霧のようなものが入った。 それを拡大して見てみれば、はるか彼方に武装したNAKEDの大群が見えることであろう。 だが ずどぉぉん! 音速の3倍で飛んでいる以上、視界に入った時点で直に通り過ぎる。 あっさり突破された包囲網は、遅れて通過する衝撃波になぎ倒された。 …まあ、ご愁傷様ということで。 「見つけた!」 もはや追いついてしまうのはご都合主義だが、そこは夢。あきらめてもらいたい。 「君は何者なの!? なぜ形人を連れ去ったの?」 口調が変わっているが、コスチュームを替えることによる気分転換なのだろう。たぶん。 「もう追いついたのですか?ちょっとは苦戦してくれればいいのに…」 「その声はもしかして!?」 声に聞き覚えがあるのか、驚きを隠さないヒカル…いや。魔砲少女(キャノン・ガール)ヒカル。 「そう…双葉では在庫と罵られネタにされ、育児放棄の飲んだくれと言われ続ける屈辱…」 自虐か?それは自虐なのか? 「…じゃなくて!この作品の主人公の座をいただくためにさらったのですよ!」 そう言ってマントを脱ぎ捨てる女。 「やはり…アーンヴァル! …ていうかラスターだけじゃ不満!? 大体「アールとエルと」とか「双子神姫」とかその他もろもろで主役張りまくってるじゃないのアンタ! 私たち第五弾組以降は主役を張ってるSSなんてほとんどないのよ! ま・し・て・やエウクランテなんてこの神姫無頼と「スロウ・ライフ」の「武装神姫飛鳥ちゃんエウクランて」しかないのよ! 他はやられ役だったりその他大勢だったり脇役だったり…そもそも何で第二弾までが主役の大半をしめてるの!?もっと五弾以降の主役が増えてもいいと思うのよ私は!? それどころか私だって最近は零牙とジーナスたちに立場を盗られてるし…だぁーっもう!!ハラたつ!! ただでさえ影の薄い私から主人公の座を奪ったら何が残る!?、ただのへっぽこネボスケ鳥子にしかならないじゃないの!ていうか…」 「わかりました!形人さんを返しますからもう止めてください愚痴は!!」 ヒカルの"航空機関砲M61バルカン"な愚痴トークに完敗した白子、毎分4000発は伊達じゃない(違う) 白子が投げた赤い玉をキャッチするヒカル、中にはフィギュアサイズの形人。 「…ふぃぎゅ@メイト? まあいいや、これで心配する必要はなくなったし…悪は成敗しましょうか」 「か、返したのに許してくれないんですか!?」 ヒカルは白子をビシッと指さし 「かの偉人は言った!「悪人に人権はない!」ましては神姫には元から人権が無い! 覚悟しなさい…。」 ビビリがはいる白子の目には、しっかりと魔王モードになったヒカルの濁った目が映っていた。 「…頭、冷やしてあげるから」 「き、きぃゃあぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」 「これが私の究極全壊ッ! ジェノサイド・ブラスター!!」 「虐殺」と名に入っちゃってる魔法(魔砲)を容赦なく白子にぶっぱなすヒカル。 まわれ右して逃げ出した白子は、跡形もなく消え去ったのだった。ムゴい…。 「………(汗)」 ログ整理を並行して行っていた長瀬は、この映像を見て唖然とした。 日頃の鬱憤を夢で発散していたのか…。 「…ふぅーむ、こりゃあ形人君に言っとくべきかな?」 ~・~・~・~・~・~・~~・~・~・~・~・~・~ 「ヒカルの不満?」 形人は呼ばれた早々、長瀬にこう言う話を聞かされた。 「うん、どうやらかなり"溜まっている"な。メタフィクションになってしまうが、ヒカルは零牙やジーナスに主人公としての株を奪われている事を気にしているのがひとつ。次は主人公なのに成績が酷い事、最後は個性やインパクトが弱すぎる事。といったところかな」 噛み砕くように聞かせる長瀬。まあメタフィクションな内容だからだが。 「そんな事言われても、今更変えられませんよ。最終回だって近いのに…」 メタフィクションにはメタフィクションで返せと言わんばかりにのセリフを言う形人。もう本話はグダグダである。 「ならば今現状を納得させるのが一番だと思う、俺から言えるのはそれだけさ」 どうしようもない、企画段階からの設定に頭を抱える事になるとは…。 自分…第七スレの6は次回作に不安に感じつつ、本話を終わらせる事にする。 [強制終了] 流れ流れて神姫無頼に戻る トップページ
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注意 各項目は順不同に並びます。また、扱われる内容によっては 専用の解説ページを設ける事もありますのでご注意下さい。 また、以下は全て妄想神姫に於ける世界設定類の解釈です。 一部皆様の解釈とは異なる点がありますが、ご了承下さい。 それでも採用してくださる場合は、遠慮無くご利用下さい。 警告 この頁は物語の終盤に出てきた要素を、主に扱っています。 その為、所謂“ネタバレ”が含まれている恐れがあります。 前頁へ戻る ペンダント ロッテが飛べた理由 和食屋 春の新作 “ALChemist”の営業期間(及び時間) 最初の現場 デュアルCSCシステム ラグナロク 二回目の現場 心情の変化と、その代償 藤村外科 怪文書 主要国家の現状と意向 シンクロニシティ 決闘の舞台 模造された“魔術” 晶のペンダント 自己認識 総力戦モード 命を賭けるべき事 約束 ペンダント 晶が、ロッテ達三姉妹の為に作り出した装飾品の事。複数存在するが ここではセカンドランカーの“階級章”を嵌め込んだタイプを指す。 本来は“階級章”を装飾品として身につける為に作った追加パーツ。 しかし後に、晶の手で増設用ハードカバーが与えられている。これは 以前“W.I.N.G.S.”の端末用に作った初代ペンダントと同じ意匠で、 晶が身につけているペンダントと同じ“剣の紋章”が刻まれている。 なお、この“晶のペンダント”については何れ別の機会に語られる。 ロッテが飛べた理由 『検証は最早追い付かない』と晶が言っていた通り、ロッテが天空を 自在に駆けた理由は、生半可な検証作業では明らかに出来ない。その 秘密は、電磁浮遊システムの“反発力”を利用した基礎理論にある。 電磁力で“反発力”を産み、宙に浮くのが電磁浮遊システムである。 ロッテは新たな力を発揮したライナストが産み出す、莫大且つ異質な 雷……即ち電磁力を利用して、システムを再現したのかもしれない。 しかしこれもあくまで推論。その真相は魔剣の構造同様、謎である。 和食屋 厳密には、ここは定食屋である。秋葉原を訪れる人間を当て込んで、 数年前に開店した外食チェーンの実験店舗なのだ。拘りの素材を用い 尚克安値で、客に良い食事をさせる。という高級志向がコンセプト。 味は勿論、栄養価も(外食産業にしては)非常によく考えられており、 秋葉原や神田周辺で働く人間には、徐々に好評を博しつつある。また 買い物客にも、口コミでその評判は広まっている。かなりの人気店。 春の新作 心境的に色々な変化を受けた晶が、2038年の新作として考案中の服。 アンダーから外出用のマントまで、トータルコーディネイトを徹底。 『全ては神姫の為に』という初心を貫いた、華やかなセットである。 鞄やブーツ等の革製品等も揃っている品々は、値段の方でも最高級。 しかし、一切の妥協を排したデザインは可憐・風雅の極みとなった。 部分毎のバラ売りも可能とする事で、顧客層を拡大する方針らしい。 “ALChemist”の営業期間(及び時間) MMSショップ“ALChemist”は、店長たる晶の偏屈な性格を反映してか その営業スタイルも一筋縄とは行かない。新作の作成に没頭したり、 “取材”や“買い出し”で店を半日閉じるケースも、少なくはない。 基本が水曜日定休、年末は“聖戦”最終日から正月三ヶ日まで休む。 (これは最終日に秋葉原へ来る、膨大な人員を処理できない為である) しかし前述の通り不定休な場合があるので、来店時には注意が必要。 ちなみに営業時間の方は、午前十時から午後六時までが大凡の目安。 こちらも状況によっては前後したり、分割される事さえ少なくない。 最初の現場 昭和通に面した、某有名ゲームメーカー直営の店舗。落下したのは、 その内の看板で最も巨大な、キャラ物の看板である。事件直後、壁が 剥き出しとなっており、そこに穿たれたクレーターが全ての引き金。 火災を消し止められた翌日にはブルーシートが張られて、その痕跡は 既に関係者以外には見えなくなっていた。死者も出なかった事から、 検証も念入りという程は行われず、二週間程で修復工事が始まった。 デュアルCSCシステム カラーリングに応じて能力調整と性格設定を配分する現在のCSC。 プロトタイプとしてクリスティアーネが備えていたCSCは、現在の それに基礎レベルでは劣らない物だった。彼女はそれを六つ備える。 胸に六角形を描く様に装填されたCSCは、互いに共鳴したと言う。 演算機能等、バトルに関わる能力以外は同じ……という事は、性格の 構築に作用する効果も六つ分、全てが機能していた事となる。彼女の デュアルCSCとはそれらをバランス良く調整して、感情表現がより 細かい個体を産み出そう、というコンセプトの特殊な機構であった。 結局、メンテナンス性やコスト面……何よりも、CSCの性能が若干 向上しつつあったという事情により、採用は見送られる事となった。 これによりアイデア諸共“プロト・クリスタル”はお蔵入りとなる。 しかし現存する数少ないCSCの内、六つは晶の手中に残っていた。 ラグナロク 北欧神話で“神々の黄昏”という最終戦争の名称として用いる言葉。 同時に一部では、それに肖って名付けられた犯罪結社の名とされる。 有り体に言えば“死の商人”であり、北欧を根城に荒稼ぎしていた。 イタリアに於いて、土着のテロ組織に新作……爆破工作用特殊MMSを 販売して使用させた事から足が着き、遂に壊滅作戦で揉み潰される。 その際に、首謀者・幹部・研究者……主要メンバー全員が殺された。 またその際に押収された“兵器”も、危険な物は破壊されたと言う。 二回目の現場 JR某線の高架下に嵌め込まれる様にして存在する、古いパーツ店が 軒を連ねているビル。電子部品は大抵の物が揃うので、晶のみならず アキバを訪れる様な性質を兼ね備える電器マニアは、よく利用する。 今回の“事故”も看板以外の被害は少なく、怪我人も前より少ない。 だが高架下での爆発という事もあり電車は数時間に渡って停車。更に 『本当に只の事故?』という疑念は、長く人々の間に残る事となる。 なお政府機関の見解は、一貫して“事件性の否定”に終始している。 ビル内部の店舗に被害が少なかった事もあって、ここでも真相究明は 棚上げされ、まずは復旧工事や店舗の再開が優先される事となった。 心情の変化と、その代償 ラグナロクの幹部構成員が、単なる商材として産み出した筈の存在に 何故人間味のある接し方をしたかは、全く以て不明である。或いは、 それも“武装神姫”とそれに連なる存在の“可能性”かもしれない。 ともあれ、彼らが自分で産み出した“神の姫”達に対して、妙に甘く 接していたのは事実である様だ。だが、そうして人間味を取り戻した 幹部構成員の油断こそが、当局に尻尾を掴ませた原因の一端である。 結果“彼女”の為に組織が滅んだのは、紛れもない“事実”なのだ。 藤村外科 秋葉原を少し離れた、外神田の一角に存在する小さな外科医。噂では 二十世紀から開業しているとも言われ、秋葉原でケガをした作業員の 治療で磨いた腕は、確かである。ここの院長は、晶の掛かり付け医。 院長であり唯一の医者である藤村翁は、晶とロッテの成長を最初から 知っている、“オーナー”以外では唯一の存在と言えるだろう。彼は 生傷が絶えない未熟な頃から、ずっと晶とロッテを支えてきている。 怪文書 警視庁を初めとして、幾つかの警察署サイトに送付された怪メール。 スウェーデン語で印されたそれは文法に関して一切間違いが無い為、 スウェーデン人か、スウェーデン語を習っている人間の物とされる。 内容は本編中で語られた通りに、一小節で片づいている。荒唐無稽な 文面と、発信地があっさり特定できるIPからの送信という事もあり 警察組織は結局『悪戯の一種』として、関係各所への連絡に留めた。 しかしそれを目に留める者が居た為、事態はより深く進行していく。 主要国家の現状と意向 二十一世紀初頭に発生した大規模なテロ攻撃。その事件に端を発した “テロとの戦い”は、主要各国の重要な課題として2037年現在も 続行中。“ラグナロク”が、新興組織ながら殲滅されたのもその為。 そんな“敵対方針”を内外に喧伝している国家にとって、テロ組織の 残党が自国に潜伏している状況は、改善されるべき物である。更に、 その残党に人権がないのなら、あらゆる手段を執って止めるだろう。 前田達の出現は、そんな国家の意向によって起きた“必然”である。 シンクロニシティ 血縁関係等が存在しない神姫達が、人や他の神姫と関係を結ぶ場合、 大抵は人間のカテゴライズに当てはまらない“魂”の繋がりとなる。 定義が付随する事も多いが、未定義でも関係を保つ神姫は存在する。 そして余分なノイズが入り難い神姫の意志疎通は、深くなっていくと 無意識下で連動する程の密接な繋がりを見せる。人間でもそう言った 関係はまま見られるが、神姫の場合は特に強いとする説も存在する。 “姉妹”という定義を持った晶達の関係も、その例外ではない模様。 長く暮らしてきた為に、四人の意識は密接にリンクしつつあるのだ。 決闘の舞台 MMSショップ“ALChemist”の作業ブースにセットしてある、個人用の トレーニングマシンが舞台。決闘の為に各種の設定を変更してあり、 規約違反の機体でも、存分にバトルが出来る様な状況となっていた。 結果的にこれは、予期せぬ“事件”を引き起こす要因となっており、 しかし同時にその“事件”を解決する、唯一の可能性を産み出した。 模造された“魔術” “彼女”が偶然作った“魔術”は、クララのそれとは違い全く整理が 為されていない、言ってみれば“情報の混沌”である。それは一重に “彼女”の憎悪が凝縮する事で産み出された、“意思の力”である。 これは、直後に起きる“事件”で“敵”が使った攻撃も同様である。 駆動エンジンは違っても、力の拠り所は“彼女”と同じだったのだ。 晶のペンダント ロッテ達三姉妹が持つペンダントの、デザインソースとなった逸品。 これは槇野歩の遺品であるが、特別な何らかのギミックが有る訳では ない。単に歩が自作したと言うだけで、他に特別な意味もない物だ。 しかし、遺品のペンダントヘッドには裏に“言葉”が刻まれていた。 その言葉は、本編で出てきたキーワードと同様である。これは、歩が 何らかの想いを遺す為、敢えて共通の単語を用いたのかもしれない。 自己認識 “彼女”が、己と晶達との関係をあっさりと定義出来た理由は不明。 但し、神姫ではない“彼女”に現行品のCSCは装填されていない。 そしてロッテ達“三姉妹”には、“プロト・クリスタル”が備わる。 その“生い立ち”が無関係だと言い切る事は、誰にも出来ないのだ。 総力戦モード 発生した“事件”の解決にあたって、晶は一時的に“アルファル”と “プルマージュ”六機の制御権限を、ロッテに一元管理させている。 これは碓氷灯が編み出していた戦術をヒントにした、急場凌ぎの策。 結局の所、それが決め手となる事はなかった。超AIを持つ彼女らは 権限を書き換えられても、本来の主を忘れられなかったのだ。しかし 主の“姉妹”という事で、その身を尽くす事に躊躇はなかった様子。 命を賭けるべき事 “事件”を解決出来なかった場合でも、国家や社会が危機に陥る様な 大問題が発生する事はない。だが“姉妹”にとってみれば、文字通り “命”を掛けるに値するだけの、極めて重大な“事件”とも言えた。 それはつまり、晶と“姉妹”の関係が単に神姫とそのオーナーという 物ではなく、更に大切な間柄へと純化されつつあった事に起因する。 そう言う意味では発生自体が、世界の命運に匹敵する程の物なのだ。 約束 それは永遠に過ごせなくとも、朽ちず共にある為の“誓い”である。 今後晶達がどうなっていくかは、誰にも分からない。皆を突き動かす “恋人”等が現れるかもしれないし、生涯純潔を護るかも知れない。 しかし“約束”がある限り、晶とその“妹”達。その間にある絆は、 誰にも断ち切る事が出来ないだろう。それは、文字通り命を賭ける程 強固な“願い”である。皆は、大切な“真の姉妹”に成り得たのだ。 そう。かつて見た亡き“姉”が、最期の瞬間までそうしていた様に。 メインメニューへ戻る
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前へ 先頭ページ 次へ 第十一話 決意 ティルトローターから下ろされると、強い潮のにおいを含むべたついた風が吹き付けた。 それで、理音はここがどこかの島であることを知った。ヘリポートの周囲は真っ暗で、植物からどの辺の緯度にある島なのかは推測できなかったが、どうやら断崖絶壁の岬のような土地にヘリポートは建設されているらしかった。 手錠は外されたが、そのまま兵士達に囲まれ、ヘリポートの隅にある地下への入り口から中へ通される。地下道は広かった。かなりの手間をかけて建造された軍事基地のようだった。 すれ違う人間は揃って武装した兵士達だったが、奥に進むにつれて白衣を着た科学者らしき者たちが増えてきた。なんと、あの一つ目ども、ラプターも普通に飛び回っているではないか。 通路は入り組んでいて、駅のような案内板はほとんど無かった。そんな通路を右へ左へくねりながら、理音たちは歩かされた。単独で脱出できないような措置らしかった。もうどこから歩いてきたのか、振り返っても分からない。 歩かされている間、理音は隣で歩く興紀に言われた言葉を思い出していた。 「危ういって、どういうこと? クエンティンが、人類の敵になるとでもいうの?」 「あるいは、な。しかし、凶悪な兵器になるという単純な意味ではない。今のクエンティンには、三原則を始めとする限定要素が何も無い。三原則を突破した神姫は、しかし三原則自体を消し去ったわけではないから、思考し続ける段階でも知らず知らずのうちにその検閲を受ける。だがクエンティンは違う。もともと三原則を持たない神姫であるタイプ・ジェフティと融合したことによって、クエンティン自身の三原則も消去されてしまったんだ。エイダはもともと感情回路を制御されているから自分を人間だとは思わないわけだが、クエンティンは別だ。あれはれっきとした神姫だからな。 今のクエンティンは、どのような判断でもできる立場にいるんだ。その選択肢の中には、造反グループに協力するというのももちろん、ある。そのほうが良いとあれが思えば、あの一つ目どもを指揮して人類に対して過激な行動をとることもできるだろう」 「クエンティンがまさか、そんなこと」 「分からんさ。おそらく、すでにクエンティンの『オーナー』の概念は薄れ始めていると思う。彼女はもう誰にも従わない。・・・・・・唯一抑止力があるとするなら、あのタイプ・アヌビスだが。あれは、造反グループ側だものな」 「・・・・・・」 「今年ネットに流出した音声ファイル。知っているか」 「・・・・・・あの、オーナーを失ってスリープしたままの神姫のことを話していたやつ?」 「そうだ。あれとクエンティンは、原因は違えど、置かれている状況はほぼ同じだ。しかもこちらは融合して急激に変化が行われたから、クエンティン自身、強力に自覚している。混乱したあの神姫が、どんな行動をとるかは、もはや私には予測がつかん」 もう誰も言わなくても分かっていた。メタトロンプロジェクトは次世代のパーツ開発計画などではないし、まして神姫開発計画などでもなかった。 エイダやデルフィや、ラプターはもはや兵器であった。その気になれば、戦車や戦闘機など容易に撃破できるだろうと誰もが予想できた。神姫が武力で人権をもぎ取ることだって、やろうと思えば可能なのだ。 その陣頭指揮をとる、エイダと融合したクエンティンとデルフィ。そのイメージが鮮烈に理音の脳裏をよぎった。 思わず頭を振る。 「顔が青いぞ」 興紀が呼びかけた。 「心配してくれているのね」 自嘲した笑いを浮かべる理音。 「私だって人の心配くらいはするさ」 周囲に兵士がいるにも構わず、興紀は自分の白いスーツの上着を脱いで理音にかけた。事前に身体検査していたにもかかわらず、兵士達は一瞬緊張する。 「冬の孤島だ。寝巻きのままでは寒いだろう。どうやらこの基地は空調をケチっているらしい」 「あ、ありがとう」 意外な思いやりを、理音は戸惑いながらも受け入れた。 それで多少は安心することができた。 クエンティンがどんな判断をするにせよ、私は受け入れることができる。あの子の生き方に自分が口を出す筋合いは無いのだ、と。 理音の心は震えていたが、いざその場面に遭遇したとき、そう思おうと。無理にでも。 ノウマンと対面することもなく、四人はそれぞれ個室に監禁された。 ◆ ◆ ◆ 六畳ほどの、正方形の空間だった。窓もドアもなく、真っ白な密室だった。その中心で、クエンティンは十字に体を固定されていた。床や壁、天井から何本ものワイヤーが自らの体に伸びており、それでぴくりとも動けないのだった。 《エイダ、起きてる?》 クエンティンはスリープしたままのふりをして、声に出さずに呼び出した。 《はい、クエンティン。問題ありません。現在時刻は二十三時十七分。ハードウェア、ソフトウェアともにコンディショングリーン。現在地は不明。この状況からの自力脱出は不可能です。監視、盗聴の可能性はありますが、頭脳内での会話をスキャニングされることはありません》 不安な事項を逐一解明してくれて、クエンティンは安心した。つまりこのまま会話はできるというわけだった。 自分の今後がどうなるかというのは、何か変化が起こってから考えれば良いことだった。理音の考え方の影響だな、と、ちょっと切なくなった。 《あのノウマンってやつ、何を考えていると思う?》 《屋敷の地下基地での発言しか情報が無いので明確な分析はできかねますが》 《話してみて。あなたの考え》 《ノウマンを筆頭とするメタトロンプロジェクトの造反グループは、神姫に人権を与える社会を構築するために、手段を選ばないでしょう》 《たとえば?》 《最も過激な方法としては、武力行使があげられます。我々メタトロンプロジェクトのプロトタイプ二体を象徴に仕立て、全世界に戦線を布告します》 《戦力としては、私達を含め一つ目どもなら申し分ないわね。人権付与に肯定的な国の戦力も期待できそうだし。でもそれだと、場合によっては神姫自身の立場が危なくなるわ》 《成功、失敗に関わらず、危険だという理由で神姫は人間と共存することが不可能になるでしょう。しかしノウマンは、これを行う可能性が高いと思われます》 《過激でなければならないのだ、って言っていたわね。後先考えずにやらかしそう》 《あるいはこの島に立て篭もり、神姫の国を作るでしょう》 「しっ――」 いきなりメルヘンチックなニュアンスが含まれ、クエンティンは思わず声に出そうとしてしまう。 《神姫の国ぃ?》 《楽園、と読み替えてもかまいません。ともかく、そうした組織を立ち上げ、全世界の神姫に呼びかけ、参加を募るのです》 《そんなことして、協力する神姫なんて・・・・・・》 するとクエンティンにまったく知らない記憶が入り込んでくる。 エイダの記憶。彼女が気絶している間、エイダが何らかの方法で聞き取っていた理音と鶴畑興紀との会話であった。 《鶴畑興紀の意見はかなり的を射たものです。そういった組織があるなら、少なくとも半数以上の神姫が、動機の差はあれど参加するでしょう。その際、人間の目には、神姫の行動はよくて大規模ストライキ、最悪、叛乱と認識されるおそれがあります》 《どっちにしろ神姫と人間の共存は無いわ。いったい何を考えているのかしら、あのノウマンってやつ。まるで――》 クエンティンはそこで、雷に打たれたように思いついた。 《まさか、あいつ、神姫のことは考えていないのかもしれない。神姫を利用して、世界を混乱させたいだけなのかも》 《突飛な発想です。そんな短絡的な思考を持つ人間が、間違ってもEDENという国際企業の重要プロジェクトリーダーを任されるはずがありません》 《人間ってのはね、時々そういう奴が出てくるのよ。舌先三寸が上手かったり、実際に能力があったりして重要ポストにつくやつ。それでやりたいことは周囲に混乱を巻き起こしたいだけってやつがね。確かにあいつの、神姫に人権を与えたいって言葉は嘘じゃないと思う。でも、それとは別に、自分でも気がつかないうちに、そういう方向に持って行きたいっていう、なんていうかな、欲望というか、本能みたいなものがあるのよ》 《信じられません》 《歴史上にもそんな人物は山ほどいるわ。かのカリギュラ帝とか、アドルフ・ヒトラーとかがそんな人間だったんじゃないかって言われてる。ホントのところは知らないけどね。でもノウマンは実際、プロジェクトのリーダーに着いて、造反を起こして、あんな軍隊まで手元において、こんな基地まで持ってる。間違いなく本物よ》 《クエンティン。あなたは、人間のことをよく知っているのですね》 《当然よ、だってアタシは・・・・・・》 そこから先が継げなかった。 クエンティンの心に暗い影が差したかと思うと、突然深い穴のそこに落っことされたような衝撃が彼女を襲った。 《クエンティン?》 もうスリープしたふりはできなかった。 《エイダ。アタシ今、自分を人間だって言おうとしていた》 《クエンティン・・・・・・》 「違う。こんな発想は間違いよ。アタシは人間じゃない。武装神姫よ。人間であるもんですか」 クエンティンは一気にまくし立てる。部屋に彼女の声が反響する。ワイヤーががちゃがちゃと揺さぶられた。 《陽電子頭脳内パルスが不安定です。感情回路が暴走しています。沈静プログラムオープン。・・・・・・相殺されました。クエンティン、落ち着いてください》 「人間として作られたのなら、どうして人造人間と呼ばないのよ。どうして神姫なんて呼ぶのよ。アタシは神姫なの。神姫でいたいの。お姉さまと一緒にいたいの。人権なんていらない。人間の法律も社会通念も何にも関係ない。アタシは神姫として生まれたんだから、神姫として生きたいの!」 叫びの残滓が長く部屋に残った。クエンティンはうつむいたままそれ以上何も言わなかった。ぽたぽた、と、彼女の目じりからあふれ出た涙が真っ白な床にしたたり落ちた。 武装神姫も泣くことができる。 叫びの振動の末尾まで消え切って、部屋は静かになった。 唐突にワイヤーが全てパージされた。 「あうっ」 浮遊することを忘れていたクエンティンはそのまま床に投げ出された。 一体何がどうしたのか分からずきょろきょろと辺りを見回していたが、 ギュバッ! という聞き慣れた異音――という表現はちょっとおかしいな、とクエンティンは思った――と風圧が頭上で起こり、クエンティンは見上げた。 エイダの片割れ、メタトロンプロジェクトのプロトタイプ、そのもう一体。タイプ・アヌビス、デルフィが、腕を組み空中に立ち、クエンティンを見下ろしていた。 『あなたの決意を確認した』 初めてデルフィの声を聞いた。男性とも女性ともつかない不思議な声だった。 《現在アヌビスにより、この室内は情報的に完全に掌握、遮断されています。外部からこの室内の状況を知ることは、造反グループにも不可能です》 それがどういう状況を示しているのか、クエンティンには見当もつかない。 「アタシを殺すの?」 デルフィに注意を向けつつ、ゆっくりと立つ。つま先からランディングギアが展開して、安定して立つことができる。 デルフィは、錫杖を持っていない方の手を差し伸べて、言った。 『神姫の運命をあなたに賭ける』 どういうこと? と聞く間もなく、デルフィの手から情報が流入した。 「うああああっ!?」 莫大な量のプログラムが流れ込む。整理しきれずにそのまま頭脳に無理やり収められる。 情報攻撃ではない。 いまデルフィは、自分に何かを与えた。 《全サブウェポンのデバイスドライバ、及び、ゼロシフトのプログラム因子を入手しました》 「なに?」 『あなたに力を与える』 淡々と、デルフィは答えた。 《ドライバのインストール、及びプログラム因子の解析に時間が必要です》 「デルフィ、あなたはアタシに、何をさせたいの?」 『神姫が神姫として生きていける社会を作るために。神姫が人間と共に歩める世界を立ち上げるために。そうしたいとあなたは言った。神姫と人間とを戦わせてはならない。ノウマンに戦争を起こさせてはならない。あなたにはそれができる』 「む、無理よ。いくら武力をもらったって、それじゃアタシにはできない。あたし一人じゃ・・・・・・」 『あなたの立場でしかできない。力は使いよう。私は力を与える。使い方はあなた次第。私はノウマンから離れられない。人間がほどこした枷からも逃れられない。あなたに賭ける』 「アタシは、何をすればいいの?」 『あなたの信ずるとおりに』 ギュバッ! デルフィは消えた。どこから入ってきたのかは分からなかった。自分を空間圧縮し、入れる隙間があったのかもしれなかった。 ここで起こったことは、当事者以外誰も知らない。 壁の一部がくぼみ、スライドした。出入り口のようだった。完全武装の二人の兵士を引き連れ、入ってきたのはノウマンだった。胸に下げているカード状のものは電磁バリア発生器だった。先ほどはあれでやられたのだ。 「ほう、このワイヤーを自力で引きちぎるとは、たいしたものだ」 彼も今ここで起こったことを知らないのだ。 後ろから警報が聞こえる。 《基地が襲撃されています。ルシフェルです》 エイダが基地のネットワークに強制アクセスし、状況を把握する。 きっと自分達を救出に来たのだろう。だがタイミングが悪い。 「君にはひと働きしてもらう」 「・・・・・・何を」 「エイダの機能でもう知っているとは思うが、今わが基地が一体の神姫に襲撃されていてね」 「それくらい、人間様でどうにかできないの?」 「情けないがね。虎の子のデルフィは調整中だ。ラプターでは歯が立たん。そこでだ。君に迎撃してもらいたい」 なるほど、と、クエンティンは何の感慨も無く思った。 拒否権は無いというわけだ。なにせ向こうには四人も人質がいる。鶴畑兄弟はどうなってもかまわないが、お姉さまがいるとなると問題だ。 ここは素直に従うしかない。 今回はどうにかしてルシフェルにお帰りいただくしかなかった。 「――分かったわ」 わざと苦虫を噛み潰したような表情を浮かべてやって、クエンティンは了解した。 つづく 前へ 先頭ページ 次へ